患者になった名医たちの選択

患者になった名医たちの選択
患者になった名医たちの選択朝日新聞出版社から2020年3月30日に「患者になった名医たちの選択」という題名の親書が出版されました。
著者は読売新聞記者を経て、医学・医療、科学・技術分野を中心に執筆活動をしているジャーナリストの塚?明子さんです。本の「はじめに」には、こう書かれています。

人は誰でも、病気になる可能性がある。病であることを知らされて、心に湧き上がるのは、驚き、惑い、悩み、苫しみ、嘆き、怒り、悲しみ、後悔……。最後は病を受容し、時として諦め、悟りの境地に至るのかもしれない。

では、病の専門家である医師が、自分が病に罹っていることを知った時は、どうだろうか。
自らの病にどう向き合い、どのような選択を下すのだろうか。架空の世界では、名医たちの病気は、しばしばドラマチックに描かれている。

現実の名医たちは、どうだろう。
医師は科学者でもあるから、一般の人よりも冷静に思考するのではないだろうか。
医師が病を克服しようとした経験を共有してもらえれば、病へのより良い対処法のヒントとすることができるのではないか。
そんな思いから、筆を起こした。

しかし、自分が病を得たことは究極のプライバシーであり、公にするには、それなりの覚悟がなくてはならない。そもそも、自らの病気を恥じる医師もいるようだ。
日本人の死因のトップは、がん。日本では、生涯で2人に1人ががんに罹り、3人に1人ががんで命を落とす。
がん闘病を経験したある医師は、「医学界の一部には、医者ががんになるなんて困ったものだという風潮がある」と語る。

幸いにも本書では、「患者・家族」と「潜在患者」(すべての人)の役に立てればという趣旨で、18人の医師が自らの闘病体験を語ってくれた。
その中に、がんになった医師は9人(2人に1人)いる。根治する病ばかりでなく、後遺症として障害を抱えながら生きる医師もいる。思うように動かせない体、見えない目……
不自由と向き合いながら、医師の仕事を全うしている人たちもいる。そして、誰もが、患者としての体験を治療に大きく生かしている。

肺がんの体験を語ってくれた高橋修氏(平和病院緩和支援センター長)が16年前、退院を迎えた日のこと。傷の痛みをこらえながら、小学生だった息子の授業参観に参加すると、「父さん、お帰り」と満面の笑みが返ってきたことを鮮明に覚えている。

本書に登場した18人の医師たちは、病を得た後、なお医師という天職で輝きを取り戻している。だが、それは、医師だからといった単純な理由ではない。

配信 Willmake143